毎年この時期になると、実家の倉庫にしまい込んである子供時代の荷物を整理するため帰省するのが恒例となっている。 もう3年ほど続けているのに、毎度毎度懐かしの面白アイテム探しに夢中になってしま い、肝心の整理はほとんど進んでいない。
そうはならないよう、気を引き締めてのぞんだ今年の倉庫整理だったんだけど、 作業開始後ものの5分足らずで、そんな決意を吹き飛ばす面白アイテムを掘り当ててし まった。

「本格推理アドベンチャーゲーム」……そのファミカセにはそう銘打たれていた。
タイトルは「カナヅチ」。20年前にいとこがバイトしていたゲーム会社 「(株)少し不思議」(以下SF社)開発によるものだ。 何も印刷されていない真っ白なパッケージのオモテ面、ウラ面に それぞれタイトルとゲーム説明がボールペンのようなもので直接書き込まれている。 以前に発掘した「きたれ!どうぶつ達の森」「あつまれ!昆虫の里」「ジョイナス!仏様の森」といったファミカセと同様、 実際には発売まで漕ぎ着けなかった幻のタイトルとみて間違いないだろう。

30歳を越えたいまになっても、何か探しものをする際には 「カニカニどこカニ?」と口走ってしまうほどアドベンチャーゲームが好きな僕は、 胸をときめかせつつパッケージ裏に書かれた手書きの ゲーム説明を読んでみた。



 〜本格推理アドベンチャーゲーム 「カナヅチ」〜

 1989年某日、都立SF学園3年の山口三枝子が何者かによって殺害された。
 息を引き取る直前に三枝子が書き残した「カナヅチ」の血文字。
 はたしてこのダイイングメッセージの意味するものは、
 犯行に使われた凶器か、それとも……?

 SF学園探偵同好会に所属する君は、
 三枝子の妹 麻希子や同好会のメンバー 中山友和らの力を借り、
 この難事件を解決へとみちびく。

 「カナヅチ」の謎が解けるとき、君は驚愕の結末を見るだろう!



……こ、これは!過去に発掘したSF社製ソフトとはまるで違う、王道の香り!
あっさりと倉庫整理に見切りをつけた僕は、早速本格的な推理を楽しむべく ファミコンをテレビに繋ぐと、「カナヅチ」のパッケージを開きカセットを取り出した。
パッケージは手書き文字だけだったにもかかわらず、 カセットのラベルはことのほかしっかり出来上がっている。 しかもこれがまた今までにみたSF社製ソフトとはまるで違う、この本気っぽさ!↓

※クリックでラベル部分が拡大表示されます


これはいやがうえにも期待が高ま……ん?




…えっ……




………………僕は電源を入れることなく、驚愕の結末を見た。













……というようなコンセプトで、ポリグラフとイラストレーターの まりもさんがタッグを組んで制作したこのソフト、 吉祥寺メテオの 恒例行事「わたしのファミカセ展2009」 にて展示していただいております。
展示期間は2009年5月2日(土)〜5月31日(日)。 50以上ものオリジナルファミカセが一堂に会す年に一度のお祭ですので、近郊にお住いの方は必見! また、遠方にお住いの方もこちらで全タイトルの画像が漏れなくご覧になれま す。人気投票にご参加いただいた方の中から抽選で3名様に、 「ファミ展09マグカップ(非売品)」のプレゼントがあるそうですので、どうぞ奮ってご応募ください。

(2009.05.13)


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