みんなは「(株)少し不思議」(以下SF社)っていう ゲーム会社を知ってる?

この会社、ファミコンが静かに息を引き取ろうとしていた89年〜94年頃に、 小粒ながらも独創的なアイディアが光る良質のファミコンソフトを 何本かリリースしてたんだけども、パッケージや画面写真からはどうにも具体的なゲーム内容を イメージできないタイトルが多く、時期が時期だった(スーファミの発売が90年11月)こともあり 当時からほとんど知られてなかったような気がする。

そんな中僕は、大学生のいとこがSF社でバイトしていたおかげで 幸いにも(?)SF社のファミカセだけは ただで手に入れることができた。 後になって分かったんだけども、その中には発売まで 漕ぎ着けなかったタイトルがいくつも含まれてたらしい。 新しいソフトをもらう度に、いつもしつこいくらいに感想を 尋ねられてたんで、今思うとたぶんテストプレイヤーの役割を 担わされてたんじゃないかなぁ。

で、僕も大人になって、そんなゲーム会社があったことなんて すっかり忘れてたんだけども、先日実家に帰った際に 昔僕が使ってた部屋の押し入れの整理をさせられ、 そこで十数本ものSF社製ソフトを見つけた。 その多くは日の目を見ることが無かったボツソフトや 開発途中のサンプルロムのようで、 ラベルが手書きのものさえ混ざっていた。 どのソフトもそこそこ遊びこんだはずなのに、 どんなゲームだったかはっきり覚えてるソフトは2,3本しかない。 でもそんな中で、僕は失禁を禁じえない衝撃的な発見をした!

※クリックでラベル部分が拡大表示されます


…それがこのソフト、「きたれ!どうぶつ達の村」だ。
TVゲームに馴染みのある人なら一目でピンと来るだろう。 カセットに輪ゴムで留められていた宣伝チラシ(といっても 白黒コピー)を見た僕は確信した…アレの元ネタだと!


※以下、チラシから引用

4×4画面分もの広大な村を舞台に、 キミのもう一つの生活が今始まる!
どうぶつ達を眺めるもよし、散歩を楽しむもよし、 小石を拾うもよし。
村での生活をどんな風に 楽しむのかは、全てキミの自由だ!
 ※このゲームにはエンディングがありません

登場するアイテム(家具・道具・服など)は、なんと全32種類!
(剣玉だけでも6種類もあるよ!) キミはいくつ集めることができるかな?


……どうなの、これ?…まず間違いないでしょ??
キャラの頭身の高さや、剣玉に対する思い入れの強さなど、 どうしようもない違和感を覚える箇所は所々あるものの、 とはいえ、これはどう考えても…そういうことだよね?? 実際には発売されなかったソフトなんだから、 N社がパクったというよりはSF社が丸ごとN社に吸収されたか、 もしくはSF社の社員がSF社倒産後に 企画持参でN社に移ったかってとこだろうと思う。

カセットの裏側の一部は荒っぽく切り抜かれており、 そこからなんと単四電池がはみ出している。 おそらくバッテリーバックアップのための電池なんだろうけど、 残念ながら派手に液漏れをおこしており、 ファミコンに挿しても案の定起動することはなかった。 今はもう断片すら思い出すことの出来ない どうぶつ達の村で過ごした日々は、 永遠に封印されることとなってしまったんだけども、 30歳の僕には不思議とそれで良かったんだと思えた。










……というようなコンセプトで僕が勝手に作ったこのソフト、 吉祥寺に位置する秘密基地系セレクトショップ「メテオ」主催に よる企画、「わたしのファミカセ展 2006」にて 展示していただいております。 会期は残すところあと1週間足らず。近郊にお住いの方は必見! (近郊にお住いでない方も、こちらでご覧になれます)

イラストレーターのまりもさん協力のもと どうにもこうにもパチもんクサい雰囲気を醸しだそうと あれこれ工夫したんだけども、 狙いどころが微妙過ぎて「ただの可愛くない絵」と 思われてしまってるのでは?という不安で一杯。



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